人工衛星などを地球低軌道(LOE)に投入する新たな挑戦のようです。

スピンロンチ(Spinlaunch)と言うらしいです。

これは、今までのロケットのように、
大量の燃料を消費して宇宙に到達する方法ではなく、
ハンマー投げのようにぐるぐる回して速度をつけて打ち出す新しいタイプのようです。

かたつむりが上を向いたような巨大な装置は、自由の女神くらいの高さなんですね。
これでも試験用のサイズで、本番用の1/3のサイズなんだそうです。
ロケットをハンマー投げ!?_01
ロケット(おそらく本番用)の重量は1トンちょっと。
ペイロードは200kgぐらい?
ロケットをハンマー投げ!?_03
直径100mの減圧された円形のチャンバー内を、ゆっくり1時間半ぐらいかけて450rpmまで加速して、
わずか1ミリ秒のタイミングで切り離され、発射筒から射出されるんですね。
ロケットをハンマー投げ!?_02
これは、試験用のチャンバー内↓
アームが高速で回転してます。
ロケットをハンマー投げ!?_04
試験用では180rpm回転させ、音速に達したとか。
本番ではマッハ6~7で打ち上げ、
空気が薄くなる高高度で、ボディーがパカっと割れ、
内蔵したロケットエンジンで軌道投入速度まで加速するんですね。

驚いたことに、直径100mの円周を450rpm(約2,360m/s)まで加速すると、
遠心加速度が約111,033m/s^2となり、重力加速度9.8で割ると、
約11,330gになるんですよね。

え~っ!!、1万ジ~(G)!?
つぶれるでしょ。

まぁ、人は乗せないそうなので、人口衛星の打ち上げに特化するのでしょう。
そのため、人口衛星の精密機器が壊れないよう、部品単位で高gへの耐性を試験する装置を用意しているそうです。

なんでこんな装置が?
打ち上げコストの削減のようです。
宇宙開発は、ずっと燃料(ケロシンや液体水素と液体酸素、固体燃料など)を燃やして打ち上げてきたので、1kgを軌道に投入するのに、およそ2万2,700米ドルくらいかかっていたそうです。

SpaceXが再利用可能なファルコン9フル・スラスト(自分で戻ってくる)を実用化し、
低軌道への投入では2,700米ドル/kgくらい、将来は1,100米ドル/kgを目指しているとか。

このスピンロンチでは従来ロケットの1/10のコストになるそうですが、
少なくともSpaceXよりコストを抑えることも課題になりそうです。

ちなみに大林組でも構想している軌道エレベーター(宇宙エレベーター)が、ホントに実用化されると、
220米ドル/kgで静止軌道(低軌道ではない?)に投入できるとか。

実現するなら、できるだけ長生きして、この目で見てみたいものです。